ひざにたまる水とはreal estate
関節とはお互いにくっついてできている不動結合のものや、背骨などにある軟骨によってくっついている軟骨性結合、一般的に言われているよくうごかすことができる可動結合にわかれます。今回はこのなかでよくケガであつかわれる可動結合の関節についてお話します。
骨のはしっこは軟骨でおおわれており、骨と骨がぶつかり合わないようにできています。この軟骨がとくに重要な働きがあるのですが、それはまたちがう機会にでもお話しします。この骨と骨とが関節をつくっていて、その関節のまわりに袋のカタチをした関節包(かんせつほう)がさらにおおっています。この関節包の中には関節液、いわゆる栄養のある潤滑液みたいなものがはいっています。よく「ヒザに水がたまる」というのが、この関節液が多量にたまった状態をいいます。
「じゃあ、潤滑液がいっぱいだともっとうごきがよくなるのでは?」と疑問がでますよね。
でもこの多量にたまっている関節液は実はあまり栄養状態のいいものではありません。つまり質のわるい油がいっぱいたまってるだけで、関節をうまく滑らせることはできません。
この水がたまる現象はヒザが悪いからたまるものではなく、関節の中でこすれたりして炎症がでたときに分泌されてきます。関節の中でこすれあっている軟骨たちの仲介の役をかって間にはいってきてくれているのです。でもあまりでしゃばりすぎると水がたまった状態になるというわけです。
「水がたまったら抜くべき?」といわれると「No」です。あまりにもはれあがってどうしようもないくらい痛みがでているときは抜いてしまったほうがいいかもしれません。でも少量の水なら時間の経過とともにカラダに吸収されていきます。でも先ほども言ったように動かして痛みをだしてしまうと余計に炎症がでて水がひくどころか悪化していきます。水がたまってきた!と思ったらすぐに安静にすること。
「水を抜いたらクセになる?」
水を抜いたからといってまた水がでてくるとは限りません。むしろ水がでてくるという人は抜いた後の活動に問題があるのかもしれません。水はあくまで仲介役。悪さをしない骨と骨ならば必要ありません。カラダもそのことは十分にわかっています。つまり水を抜いてから痛みがでるような動きをしない限り水はでてきません。
痛みに耐えきれなく痛みどめをお医者さんに注射してもらうのもOKです。でも、それはあくまでも痛み止め。炎症が消えたわけでもなく、水がなくなったわけでもありません。「明日から旅行にいくので、お医者さんに痛みどめうってもらったから安心」なんて言っていたら大間違いです。水が慢性的にたまった状態になっていくと思いますか?
多量の水によって逃げ場のなくしたまわりの組織や骨が本来ならいってはいけない方向へ逃げるしかないのです。それが関節の変形のはじまりです。
一度変形した関節はもう元にもどすことは不可能です。人工関節など手を加えれば元のようにもどりますが、元にはもどりません。人工関節になれば痛みは治まりますが、日常生活の動作で制限がかけられたり、本来の滑らかな動きができるわけではありません。だから変形したヒザは現状を保ち続けるというのが治療目的となります。
「ヒアルロン酸を注射すれば・・・」
ヒアルロン酸はあくまでも栄養であって変形した関節を治すわけではありません。栄養状態の悪い関節液に栄養を与えるものです。ましてや、飲むヒアルロン酸は関節に直接効果があるか疑わしいところです。
まずヒザに水がたまると何をするべきか。
痛みがある場合はヒザに熱がでているはずです。まずはその熱をおさえるためにアイシングをして下さい。つぎにやっぱり安静。それでも痛みが持続するようでしたら近くの整形外科や整骨院にいってヒザの治療をうけるほうがいいと思います。痛みが治まったと思って出歩くのは厳禁です。
しかし、動かさない関節はどうなるかご存知でしょうか?
健康な20代の人でも2週間動かさないよう関節を固定しておきます。するとおどろくくらい動かすことは困難になっていることでしょう。これは動かさないことでおこる『拘縮(こうしゅく)』という現象がおこってしまっています。拘縮した関節をムリに動かすと相当な痛みを感じることになります。
つまり、先ほどの「ヒザが痛いから安静」というのは動かすなというわけではありません。「体重をかけるような動きをしないで下さい」ということです。ヒザの水を抜いた日は休んでてもかまいません。ただその休む期間を長くすると2次的に関節は拘縮という障害がでてしまいます。ヒザに負荷のかからないようにイスにすわってヒザを動かせてみたり、プールなど水中歩行をしてみたりすることが拘縮を防ぎ回復へとむかうことができるのです。
ヒザがはれている気がしたら、まず安静。水をぬいたほうがいいのか、そのまま時間の経過でなくなるのを待つのがいいのか専門機関(整形外科・整骨院)で一度みてもらうほうがいいと思います。
バナースペース

当院が雑誌に紹介されました
カンパニータンク2014年3月号